けいはんな大学サミット

けいはんな大学サミット
~けいはんな学研都市の地で未来について考える~

サミットの目的

「けいはんな大学(仮称)」は、共創型プラットフォームです。ここに学生をはじめ企業や大学、市民や行政の皆さまに参画頂き、これまでにない価値を見出し、具体的な形にしていくことができる場(アゴラ)として構築していきます。既存の学問領域や組織の垣根を越え、未来を自らの手で想像する人材を育むことを目指しています。

けいはんな万博2025での「けいはんな大学サミット」の概要

初めての試みとして、全国の大学(院)生 24名に参加していただき、既に6月から未来の潮流を読み解く手法を「未来洞察ゼミ」で学んでいただいています。9月8日から11日のけいはんなプラザでの合宿(サミット)で、これからの「ありたい未来」を描き、その実現に向けてのアイディアを出し合いました。

成果と今後の展開

学生たちが議論した成果をチームごとにプレゼンテーションしました。また、それらを集約したものを10月11日のけいはんな万博2025閉会セレモニーで、「けいはんな宣言に向けて~若い世代からの提案~」として発表しました。

プログラム内容

9/8(月)大阪関西万博夢洲会場を見学、学習・視察

小グループに分かれ、大阪・関西万博を視察。グループでの視察を通してメンバーと交流を深めながら万博を体感し、興味関心や感動だけでなく、未来への問いを共有しながら、グローバルな視野を広げる。

9月9日(火)参加学生によるワークショップ講師陣による講義
ワークショップ初日(Brush-up Day)(場所:けいはんなプラザ・黄河)

けいはんな学研都市で活動する関係機関の取り組みにも触れ、当該地域のポテンシャルを改めて認識し、未来志向の感性も磨きながらワークショップの理解を深めていく。

9月10日(水)参加学生によるワークショップ講師陣による講義
ワークショップ2日目(Back-Casting Day)(場所:けいはんなプラザ・黄河)

持続可能な社会の形成に向けた課題を認識するとともに、ベンチャー企業を応援し、新たなビジネスチャンスを 生み出すスタートアップの機運醸成に資する取り組みにも配意しながらワークショップの理解を深めていく。

9月11日(木)最終日(成果発表会、解散)
(場所:けいはんなプラザ・ナイル)

成果発表と解散式を行います。

最終報告

はじめに:未来を「想像」し、「創造」する「実験区」へ

けいはんな大学サミットは、博報堂研究デザインセンター(※)との共同研究プロジェクトによって進められた「未来洞察ゼミ」(※)の成果を踏まえ、人口減少という「縮小」を前提とする社会において、いかに人間らしい「豊かさ」を再定義し、新しい価値を創造できるかを問う、若者たちによる未来への問いかけでした。2025年9月8日から11日にかけて、けいはんなプラザの会議場に集った、日本各地から参加した24名の学生と、5名の講師、9名のメンター、そして多くの関係者が、「けいはんな」を「未来の実験区」とするための熱量に満ちた議論を交わしました。

参加学生の出身校は日本各地に及び、専門分野や地域の垣根を越えた多様な知が交錯しました。このサミットは、学生たちが自らの手で未来をデザインし、それを社会に実装していくための、第一歩を記すものでした。彼らは、与えられた「学び」「居場所」「政治」という3つのテーマで、現在の社会課題を乗り越えるためのビジョンと、それを実現する具体的なプロジェクトを提示しました。

※「未来洞察ゼミ」とは:6大学(東京国際工科専門職大学、同志社大学、岩手県立大学、大阪電気通信大学、京都大学、近畿大学)の学生20名と駒井章治教授(東京国際工科専門職大学)と博報堂による「2050年縮小日本における新しい豊かさ像」を未来洞察アプローチ(※)により創発する共同研究活動。(毎週水曜11:00-13:00実施/2025年6-10月予定)コミュニケーションと「学び」「居場所」「意思決定」を掛け合わせる形でテーマを設定しグループワークによる創発を実施。「未来シナリオ」の草案14個を作成。

※博報堂研究デザインセンターについて

2024年に設⽴された博報堂の研究開発組織です。傘下に、当社のフラッグシップ研究機関である「⽣活総合 研究所」(1981年設⽴)と、クライアント企業の⽣活者発想を推進するための研究開発を⾏うことを⽬的に 新設された「⽣活者発想技術研究所」(2024年 9⽉設⽴)があり博報堂の強みである「⽣活者発想」の更な る進化を推進しています 。さらに、⽣活者発想技術研究所のもとに、多彩な研究機能やプロジェクトが集ま り、研究開発チームのコレクティブ=集合体を組成しています。
公式サイト:https://hakuhodo-rdc.com/

※未来洞察について

「過去から積み上げる予測」に加えて、将来大きなうねりを引き起こすだろう「不確実な変化の兆し」も捉えた上で、バックキャストにより組織や個人の将来の展望を紡いでいくための方法論・活動体です。
公式サイト:未来洞察 | 研究デザインセンター | 博報堂

  1. 「学び」チーム:AI と共に探求する、新しい幸福の形
    学びチームは、テクノロジーの進化がもたらす学びの未来を、決して「人間らしさ」が失われるネガティブなものとして捉えませんでした。博報堂の未来洞察ゼミで培った手法を用い、AIが知識の補完や効率的な学習を担う未来において、人間が追求すべきは「問いを生み出す力」であると提言しました。
    • プロジェクトコンセプト:AIが一人ひとりの個性や能力に合わせて学習をカスタマイズすることで、自己肯定感や幸福度を高める「心の知能指数(AIQ)を高める教育」という新しい教育観を提案しました。
    • 若者たちの想い:これは、単に良い成績を目指すのではなく、AIを「心の相棒」として共に学び、自分だけの幸福を追求する新しい自己実現の形を模索するものです。また、留年を前向きな「ポジティブな留念」として再定義する発想は、競争社会のレールから外れることを恐れず、自分のペースで人生を切り拓きたいという若者の率直な思いを映しています。
  2. 「居場所」チーム:制約を乗り越え、多様なつながりを紡ぐ
    居場所チームは、物理的な場所や人間関係の制約から解放され、誰もが自分らしい「居場所」を見つけられる未来を描きました。博報堂の未来洞察ゼミで得られた「未来兆し」に基づき、AI やMR(複合現実)技術の発展を、孤独を解消し、新しいつながりを生み出すためのツールとして捉えました。
    • プロジェクトコンセプト:MR技術によって現実と仮想空間を融合させ、場所の制約なく居場所を選択できる「どこでもMR」を提言しました。さらに、再生生物の能力を応用して動物とコミュニケーションをとるという、人間関係の枠を超えた新しい「居場所」の創造を提案しました。
    • 若者たちの想い:これは、単なるコミュニティの拡大ではなく、「セレンディピティ(偶然の発見)」を大切にしながら、自分の直感でつながりを求める新しい価値観を提示しています。物理的な制約がなくなることで、孤独に陥りがちな現代において、真に心が安らぐ多様なつながりを求める若者たちの強い願いが込められています。
  3. 「政治」チーム:当事者意識が未来を創る
    政治チームは、博報堂の未来洞察ゼミで得られた知見を活かし、情報技術の発展がもたらす「意思決定」の未来を、一部の専門家任せではなく、市民一人ひとりが「自分ごと」として関わる場へと変革しようとしました。
    • プロジェクトコンセプト:政策をメタバース上で体験できる「メタバース国会『実想空間』」や、AI が有権者の価値観に合った候補者を推薦する「マッチング投票システム」を提案しました。
    • 若者たちの想い:これらのアイデアは、政治参加のハードルを下げ、自分の声が社会に反映されることを実感したいという若者の思いから生まれています。単に投票率を上げることではなく、政治を日々の暮らしに引き寄せ、一人ひとりの「当事者意識」が社会を支える「共生社会」を築くという、新しい民主主義のあり方を模索しています。

総括:自と他、個と多の充実を目指す。
けいはんなは未来を「ソウゾウ」する拠点へ

けいはんな大学サミットは、若者たちが「縮小日本の新たな豊かさ」を、単なる概念だけではなく、具体的なプロジェクトもソウゾウしました。社会の中で自らの意志や想いを形にし、自らの存在意義を実感できるような社会を拓いていく小さな手掛かりに触れられる機会となりました。彼らのアイデアは、テクノロジーを使いこなし、社会の制約から解放されることで、自分らしい豊かな生き方を創造できるという、力強いメッセージの表れです。

このサミットを足掛かりとして、けいはんなエリアは、これからも様々な企画を実施し、学生や若い人たちを中心に、多様な人々が思いを形にできる「ソウゾウ(想像、創造)区」として展開していきます。若者たちの情熱とビジョンが、けいはんなの未来を築く礎となることを確信しています。